株式の相続|評価額の計算方法や相続税の節税方法など
「相続財産の中に株式が入っているのだが、時価評価と取得原価のどちらが適用されるのだろうか」「株式の相続の手続き方法をどこかで教えてもらえないのだろうか」「そもそも株式は相続できるのか」。相続についてのご相談は多岐にわたります。
中でも多く頂戴するご相談は、「株式を相続する場合の評価の算定方法」、「株式を相続する場合の相続税の節税方法」です。
ここでは株式を相続するケースについてみていきましょう。
■相続する株式の評価額の計算方法
(1)上場企業の株式を保有していた場合
最初は上場企業の株式を保有していた場合です。市場での時価を持っている上場株式の評価額は、
「課税時期の最終価格×保有株式数」で算出されます。
式中の課税時期は、被相続人が亡くなった日を指します。
上場株式は疫災や戦争などの世界情勢の影響を多く受けるので、「亡くなったまさにその日」1日だけでなく、一定の幅を持たせて過去の傾向を考慮し,評価することも可能です。
以下4つの株価のうち、最低価格に保有株式数をかけて算出します。
①相続があった日の終値
②相続があった月の、毎日の終値の月平均額
③相続があった月の前月の、毎日の終値の月平均額
④相続があった月の前々月の、毎日の終値の月平均額
複数の株式がある場合、株式ごとに最も安くなる時期をバラバラに採用して評価してかまいません。
例えば①が2000.12円、②が2500円、③が2300円、④が2500円の場合を考えてみます。
この場合、最低価格は相続があった日の終値2000.12円です。
相続税評価では小数点以下の端数は切り捨てて整数部分の金額を使います。
採用単価は2000.12円→2000円となり、保有株数が500株であると仮定すると(2000円×500株)、1,000,000円が相続税評価額となります。
(2)非上場企業の株式を保有していた場合
次に非上場企業の株式を保有していた場合です。
この場合は時価を持っていないので、以下2つのどちらかの方法で評価額を算出します。
〇原則的評価方式
類似業種比準方式(類似する事業内容の上場会社の株価を参考にする)、純資産価額方式(会社が清算されたとして、1人あたりの分配額を評価額とする)、併用方式(左記2つの併用)
〇配当還元方式
(過去2年間の1株あたりの配当額×1/2÷10%)×(1株あたりの資本金額÷50円)
評価方式を用いて算出することが多いですが、所持株数が少なく経営にもあまり関与していない場合には配当還元方式を用いることもあります。
■株式を相続する際の節税方法について
次に株式を相続する場合に有用な節税方法についてみていきましょう。
株式相続における節税方法の基本は、「評価額を下げる」ことです。
評価額が高ければ、それに税率がかけられて算出される相続税額も当然高くなるからです。
「評価額を下げる」方法としては以下のような方法が挙げられます。
〇株式を生前贈与し保有数を減らす
相続税の対象となる株式を減らし、その保有数が減った分節税につながります。
ただし贈与税には注意が必要です。
〇自社株の時価切り下げ
自身がオーナーである場合に、決算賞与や退職金を支給することで利益を減少させ株価をさげることができます。
■まとめ
このように、株式の相続業務は多くの工数がかかります。
また評価額の計算方法や相続税の節税方法など、考慮しなければならない論点も多く、事業の運営で手一杯の場合はその処理業務まで手が回りきらないこともあるでしょう。
正しく円滑に株式の相続を行うために、会計税務の専門家である税理士に申告業務を委託するという選択肢も存在します。
一定金額が報酬として発生しますが、税理士に相談する安心感や費用対効果を考慮すると、そこまで支払う報酬も大きなコストであるとはいえないと思われます。
横山会計事務所では愛知県名古屋市を中心に、税務、会計を通じて皆様の成長をサポートさせていただいております。
「相続税業務」「起業・会社設立」「税務相談」の業務に強みがあり、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって納税義務者の信頼にこたえる」を理念としております。
相続問題でお困りの皆様や、会社設立の業務支援を必要とされている皆様にも安心してご利用いただけるような事務所を目指すために、弁護士をはじめ社会保険労務士、及び司法書士などの専門家、そしてNPO法人との協力関係を築いておりますので、株式の相続でお悩みの皆様はお気軽にご相談ください。
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